発達障害のお子さんに宿題をさせるにはどうしたらいいか?
宿題をしない発達障害のお子さんにどう対処すべきか??
私の息子は、発達障害と診断されています。
それはわかっているのですが、
なかなか学校の宿題をしてくれず、イライラします。
どうやったら、学校の宿題をするようになりますか?
助言、お願いいたします。
これも、実際にお子さんを持っているお母さんは、
頭が痛い問題ですよね。
小学生か、中学生かわからないですし、
ADHDなのか、アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害)なのか、
というところがわからないので、私が経験した3つの事例を紹介しますね。
ここからは、私が見ていたお子さんの例を挙げながら、
この回答にこたえていきたいと思います。
会田弘樹君(仮名)の例です。
彼は、アスペルガー症候群の症状が見られました。
見られた、というのは、彼自身きちんと診断を受けたわけではないからです。
ただし、何度か学校側から「発達障害の検査をしてください」という打診は受けていました。
彼の言動などから、
私はおそらく、アスペルガー症候群の疑いがあるだろうと思いました。
彼の場合、定期テストは平均点以上取れるのですが、
提出物が壊滅的でした。
で、何をしたかというと、
塾に来てもらっていながら、やっているのは『宿題』という状態にしてもらいました。
塾で宿題というのは、
お金の無駄なように見えるかもしれません。
でも、ですね。
彼は、塾のおかげで、平均点以上を取っていたわけではありません。
彼自身の能力です。
ですが、今の学校は、意欲・態度・関心っていう項目で、
宿題の出す出さないが成績に大きく関わってきます。
高校入試にはこれが致命傷になりかねません。
進路の選択肢を増やすためにも、中学生であっても、宿題を出すというのはとても大事なことです。
発達障害のお子さんは、気が散りやすいです。
好きなテレビ。
好きなゲーム。
好きな家の場所。
そこに意識が飛んでしまい、
宿題に手がつけられないんです。
でも、塾に来てしまえば、勉強するしかないので、
徐々にやるようになります。
ここにも、ポイントがありまして、
会田弘樹君は、親や学校で褒められたことがほとんどありませんでした。
ご両親の希望で、
いけいけどんどんな塾に入れさせられていて、
勉強そのものが嫌いになりつつありました。
私たちが行ったのは、
塾に来て宿題を持ってきたら褒める。
(発達障害の子は忘れ物も多いので、持ってきただけで心から褒めます)
1分でも、授業時間を延長して勉強で来たら褒める。
(席の関係がありますが、わざと1〜5分延長させて、褒めます)
自分で1ページ終わらせたら褒める。
(発達障害のお子さんは甘えん坊なことも多く、講師がつかずに1人で1ページ以上終わらせたら褒めます)
とにかく、褒めて褒めて褒めまくります。
結果、3ヶ月ほどで、
彼は勝手に宿題をやるようになり、成績も伸びました。
- 褒めてくれる場所。
- 家の好きなものが見えない、好きなものが触れない場所。
- 親以外の大人がいる場所。
こういうところを用意してあげると、
比較的簡単に宿題をするようになります。
小学生の場合も載せておきます。
小野真里菜(仮名)ちゃんの場合。
小学2年生のケース。
1人ではすぐにボーっとしたり、
眠りについてしまう真里菜ちゃん。
この様子を見て、私は、真里菜ちゃんに何かをするのをやめました。
私が彼女に対して行ったのは、
普段の生活と食べているものの確認でした。
すると、
マクドナルド大好き
おやつの時にポテトチップスなどのスナック系のお菓子を2袋食べるときがある
家の冷蔵庫には常に炭酸やジュースが置いてあり、朝と夕方、それから、寝るまでに飲みたいときに飲む
ゲーム、ニンテンドウ3DSが大好きで、ずーっとごろごろしながらしている
という普段の生活が見られました。
私がこの真里菜ちゃんのお母さんと面談させて伝えたのが、
マクドナルドはお友達と遊ぶ時だけ、
ポテトチップスなど、油で揚げた系のお菓子は控え、和菓子やするめなどに変える。
炭酸のジュースはなくしてもらい、ニンテンドウ3DSをさせてもいいので、
10分程度は、お父さん・お母さんと遊ぶ、ということをアドバイスさせてもらいました。
また、家が無音になる時間、
テレビやラジオ、ゲームがついていない時間をつくってくださいとお願いしました。
(徐々に、宿題が終わってから、ゲームで遊ぶという習慣にしていってもらいました。)
2週間ほどで、効果があらわれ、
勝手に宿題をやるようになったそうです。
自分のやりたくないことをやる、というのは非常につらい作業なんです。
やりたくないことを先延ばしにして、
やりたいことをする、とういのは人の本能なんだそうです。
やりたいことをしたい脳の機能=像
将来のために、やりたいことを我慢し、今、やるべきことをやる脳の機能=像使い
と表現されます。
生き物の本能として、今、目先のことに飛びつくというのは、脳の大きな部分を占めます。
それに対して、将来のために、今を我慢するというのは、まだまだ人間の脳でも小さい、少ないんです。
発達障害のお子さんは、
この像が暴れまわっていると考えてください。
だから、この像を静めてあげるんです。
脳に有害になる食べ物・栄養を摂らない。
像が暴れてしまう要因、過剰な光、音を遮断する。
像使いを鍛える、つまり、大人とのコミュニケーションを重ねる。
これが大切なんですね。
絶対に上手くいくとは、約束はできませんが、
小学生などの、小さいお子さんの場合、上手くいく場合があります。
日向彩さん(仮名)のケース。
笑顔のかわいいいい子なんですが、
宿題はなかなか出せない困ったちゃんでした。
学校の先生にも気に入られていますし、
私たち塾の講師にも好意的。
ただし、ADHDの不注意優勢型で、
- すぐに宿題を忘れる。
- 自分で言ったことを忘れやすい。
- ボーっとしやすい。
- 眠気に負けやすい。
- 誘惑に弱い。
といった傾向が強くありました。
この子のお兄さんも私の塾に来ていて、
診断は受けていませんが、発達障害の疑いがあることは、
再三、小学校・中学校で打診があったそうです。
各担任が、病院に行きなさいと言うそうですが、
毎回、本人が「行かない」として頑なにいかなかったそうです。
というわけで、妹が来るとわかって、
発達障害を持っているだろうということは予想されました。
お母さん自体は、
変わった子なんですよ〜
くらいの反応でした。
この彩さんの場合、
眠たくなって寝たら寝かせます。
もう、帰りたい、ってなったら、帰らせます。
ただし、あと、1ページ、宿題頑張れるなら、
チョコをあげるよって、お菓子で釣ります(笑)
お菓子が大好きなので、
体に負担にならないように、小さいチョコ(アルファベットチョコなど)を用意し、
宿題をちょっと頑張ったら、渡します。
塾で寝てしまった後は、重要で、起きた瞬間、
寝ぼけている隙に、頑張ったらチョコ上げるし、頑張ろか?
と聞きます。
うなづいたり、「うん」って言ったら、
すかさずチョコを滑り込ませて、食べさせます。
人間には返報性の法則というのが備わっているようで、
チョコをあげたり、プレゼントをあげたりすると、
その分は「がんばる」という傾向が見られます。
ちょっと卑怯な手ですが、
お菓子で釣ってやらせます。
で、この時も、褒めてあげます。
「美味しそうにチョコ食べてくれるなぁ。
プレゼントのしがいがあるから、もっと、頑張ってなぁ。
お菓子見ると、彩ちゃんの顔が浮かんでなぁ。
ついつい、余計にお菓子買うねん。
あかん、塾やなぁ」
なんて言うと、
「いい塾やで。
最高の塾やから、彩、がんばる」
なんて言ってくれます。
塾としては遅めの時間に入れて、
人が少ないときに、ちょっとだけ特別扱いしてあげます。
もちろん、
この彩ちゃんの家には、
少し高めのコースを受講してもらっていますが。
そうやって、彼女のやる気になるパターンを、
こちらが探して、やってあげます。
チョコレートは、本来、発達障害のお子さんにはよくないとされるものですが、
量を少なくしたり、長期休みやテスト前の宿題の量が増えるときだけ、
などを狙って、お菓子でつる作戦をやっています。
以上、3つのケースを紹介しました。
発達障害のお子さんに宿題をやらせるのは、
本当に大変なことです。
だから、お母さんが、まずは、
ある程度出せたら、オッケー、くらいに考えておきましょう。
そして、食生活などの環境を整えてあげたり、
塾に入れて、塾の先生と二人三脚で、自分でできる方法を探していく。
それが一番だと思います。
私が参考にしたのは以下の書籍とイーブックです。
良ければ、あなたも、参考にしてみてください。
以上の例のように、食事の改善をしたいなら、こちら。
様々な、子どものやる気や、子どもの苦手を克服したケーススタディを知りたいなら、こちら。
>>>>拝啓、アスペルガー先生
私が塾の現場で、
いろんな子に対応できるのは、経験もありますが、
やっぱり、いろんな事態・事象を知っているからです。
あなたも、自分の知識に投資をして、
お子さんのためにできること、お子さんのことで知っていることを増やしてくださいね。