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『治ってますか?発達障害』のレビュー〜真の個性とは何か?

読み進めるたびに、

読むのがつらくなってしまった本でした。

 

 

書籍データ

 

タイトル:『治ってますか?発達障害』
著者:南雲明彦・浅見淳子
出版社:花風社
発行年:2015年7月21日

 

発達障害は治る、にこだわる花風社さんの本です。

 

この本は、治るためのハウツー本というよりも、
治るためのマインドセットという本だと思います。

 

まず、読んで驚いたのが、
南雲さん自身が学習障害で、字を読むことに「難」があること。

 

 

だけど、本を読ませないという従来の学習障害への紋切り型の支援は否定されるべきだということ。

 

 

学習障害といっても、いろんな症状がある。
そして、本を読まなくていい楽さよりも、本から知識を得られない将来的な損失のほうが大きいという、
すごく当たり前のことを指摘されています。

 

 

すごく当たり前だけど、大事な視点ですよね。

 

 

私も感じますが、
発達障害の方への支援が、「いいんだよ。」という言葉だけの支援になっているように思います。

 

 

できなくてもいいんだよ。
無理にしなくてもいいんだよ。
嫌だったらやらなくてもいいんだよ。

 

そのほうが、私たちは「管理しやすいんだよ。」というむこうの思いが見えてしまいます。

 

 

実際にケースバイケースで対応するよりも、
一律で対応するほうがいいですし、実は支援員がアルバイト(だから、モチベーションや給料自体も低いので、サービスも低い)というケースも少なくありません。

 

 

だから、支援する側も楽なほうに流れやすい。

 

 

そして、支援を受けてくれる方が増えれば増えるほど支援する側は儲かる。
だから、発達障害は治らないでいてほしい。そのままずっと何もできない支援を受ける側でいてほしい。

 

 

それを「あなたのためを思って」という言葉にすりかえる。

 

 

ここに対する怒りをお2人は持っていることが伝わってきます。

 

 

この本を読んでいて私が大好きな言葉があります。

 

 

それが、南雲明彦さんの個性の考え方です。
【障害があって、それをどう乗り越えるか考える、そこに個性が出る。】

 

それから、【希望は、元々備わっている人間の資質。】という言葉も好きです。

 

 

どうして、発達障害を治さなくてはいけないのか?

 

 

それは、発達障害が治らないという【今の日本では誰も疑わない考えをいいことに】、
子どもたちの未来を奪うシステムが存在するからです。

 

 

私たちは立ちむかわなくてはいけない。
そういった常識やしがらみを乗り越えないといけない部分はあるんです。

 

 

発達障害という言葉は、いろんな意味を含みます。
やろうと思えば、すべての人に発達障害という診断をくだすことは可能なんです。

 

 

だからこそ、発達障害は「治る」としなければならない。

 

 

そんな2人の覚悟と生きざまが伝わってくる本です。

 

 

私は逃げていたんだなと痛感しました。

 

それは私の仕事じゃない。
それは私の塾での仕事じゃない。
それは家でやってもらうことだから。

 

 

そうやって、塾の仕事で、けんかしてでもやらせなければいけなかったことから目を背けてきました。

 

 

きつく言えばやめるだろうから、
優しくして塾に残ってもらおう。

 

 

そう思っていた時が長くあり、そんな自分から目を背けていた。

 

 

その過去をもう一度見ろ!そう言われているようで読んでいてつらかった部分もあります。

 

 

でも、だからこそ、私はもう一度、発達障害というものを自分の頭で考え、
サイト、ブログ、Twitterをつかって伝えていこうと思いました。

 

 

この本の良さを3つにまとめます。

 

 

 

1、人の強さ

 

発達障害は治るとかじゃなくて、治さないといけない。

 

それは、特別支援とかの「アンチ」というレベルじゃなくて、
人の強さを信じているからです。

 

 

人はどこからでも立ち直っていけるし、
なりたかった自分にだってなれる。

 

 

そんな強さをこの2人は信じていることが伝わります。

 

 

2、人の弱さ

 

どういう理論によって、
人はからめとられてしまうのか。

 

それもわかります。

 

また、小学校4年生程度の学力があるかないかが、
犯罪者になるラインであるというデータからわかる人の弱さもわかります。

 

 

どうして、治さないといけないのか。

 

 

それは、人に迷惑をかけて自分が自分の人生を生きられないことを防ぐ。

 

 

これも大事なんですね。

 

 

3、人の未来

 

その人の未来はその人のものであるべきです。

 

それを、まわりが決めていいものではありません。

 

そんなあたりまえのことを伝えてくれます。

 

とにかく、特別支援(それに近いものも含めて)は、
チャレンジをさせません。

 

チャレンジして失敗することで、自分の向きも不向きもわかっていくのではないでしょうか?

 

失敗して「もがく」こと。
それも人生の糧になるとお2人は肯定します。

 

 

それは冷たいからじゃないんです。
人間を信じていることからくる優しさなんです。

 

 

私が好きな本の著者は、
失敗しても這い上がるところにこそ人間としての成長があるとみんな言います。

 

 

デメリットはないの?

 

いいことばかり書いてきたので、
良くないところも書きましょう。

 

 

発達障害を治していくノウハウそのものは少なめです。

 

これは発達障害を治すとはどういうことか?
なにと戦うことになるか?
人間の可能性とは何か?

 

 

について書かれている本ですので、
発達障害そのものを治していくノウハウに関しては別の本がいいでしょう。

 

 

たとえば、これですね。

 

芋づる式に治そう!

 

 

買ってよかった?

 

 

私は買ってよかった。

 

 

発達障害について、学習障害も含めて、
ここまで生々しい話ができる方々はいません。

 

 

みんな、そのままでいいよって言います。

 

 

それが一番無責任だとも思います。

 

 

発達障害とは何か?
発達障害を治すって何か?

 

 

そう思ったときに最初に読んでほしい本でもありますし、
普通の専門家の本を読んでから、これを読むのもいいと思います。

 

私は発達障害は治らないという説も、
発達障害は治るという説も、信じたいほうを信じればいいと思っています。

 

 

でもね。

 

 

どちらにしても、自分の人生を生きる覚悟はいるわけです。

 

 

誰かがあなたをいつまでも助けてくれるわけではありません。

 

 

だから、発達障害って治るんだろうか?

 

 

そんな疑問がふっと心の底から出たなら、まずはこの本を読んでほしい。

 

 

そう思います。

 

 

治ってますか?発達障害 [ 南雲明彦 ]

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