ADHDになる原因(新しい仮説)
ADHDになる原因(新しい仮説)
現在、人間の脳は、
活発に意識が働いているときと、ボーっとしているときとで、
脳の違う箇所が活発に活動していることがわかっているそうです。
活発に働いているときの脳のネットワークと、
ボーっとしているときの脳のネットワークは、違うということだそうです。
これは、2014年に、マックス・プランク研究所のダニエル・マーグ氏が発表したことにより、わかったそうです。
脳は何かに集中していない、ボーっとしているときでも、脳の一部は非常に活発に活動している、という研究報告です。
2つの脳の機能の切り替えに、発達障害の原因がある?
最近、発見されたボーっとしている間も脳の一部は活発に動いている、
これをDMN(Default Mode Network)デフォルトモードネットワークといいます。
このDMNは、安静時に働く脳機能です。
外部の環境に反応はせず、過去のことを思い出したり、将来のことを考えたり、自分のことを内省する働きがあります。
それに対して、
活発に働くネットワークは、なんらかの活動をしているときに働く脳機能です。
ワーキングメモリーなどの外部に対して働きかける脳機能は、こちらにグループ分けされます。
ADHDの方は、このワーキングメモリーの機能に、何らかの障害、未熟さがあるといわれてきました。
しかし、最近の研究では、
ADHDは、この活発に働く脳のネットワークとDMNの切り替えがうまくできていないのでは?
という考えが出てきました。
発達障害の方は、普通の人が自然にできることが、普通にできない、という障害です。
普通の人は、この活発な時に、活発な時用の脳機能を、
安静にしたいときは、安静の時用の脳機能を自然に切り替えている。
しかし、
ADHDの方は、活発に行動したり、考えたりしなくてはいけないときに、
DMNが働いてしまい、ボーっとしてしまったり、
今は、静かにしなくてはいけないときに、脳が活発な時用の機能になってしまい、
多動性や衝動性、または、脳の中がいろんな考えに飛んでいる状態になっているのではないか?
というのです。
これは、まだ、「仮説」ということですが、
よくよく考えてみれば、これに当てはまる事象がADHDの子にはよく見られます。
静かにしておかなくてはいけない場面で、
関係ないことを話してしまう。
活動しなくてはいけない場面、勉強をきちんとしなくてはいけない場面で、
ボーっとしてしまい、上手くみんなのペースについていけない。
こんなケースは、ADHDの子には、頻発します。
活発な時の脳と、安静にしておかなくてはいけない脳。
この2つの切り替えがうまくいかないと捉えれば、
それらのことにきちんと説明がつきます。
そして、この切り替えは、やはり、自然に学んでいくものなのでしょう。
親や他人との触れ合いの中で、
何らかの刺激を受けながら、脳の正常な発達は促されると言います。
ADHDの傾向が強い親から、
ADHDの傾向が強い子が高い確率で見られるというのは、
この子供の脳の成長期に適切な子育てが行われる可能性が低いということだと考えられます。
子どもの脳の発達にプラスになるとされる、
- スキンシップ
- 一緒に成長を喜ぶ声かけ
- 他の子どもたちと遊ぶ
これらが十分になされないと、
目には見えない脳の働きが、正常に働かず、ADHDの原因となる。
そういうことなんだと思います。
ADHDやアスペルガー症候群が増加している今、
私たちは私たち自身を見つめなおす時期に来ているのかもしれませんね。