発達障害を治さないままのデメリットその2
発達障害を治さないままのデメリットその2
1つのことをやりきることができない。
これは、ADHDの症状がきつく出ている子に多いのですが、
1つのことをやりきることができない、というのが発達障害を治さないデメリットです。
私は、発達障害のお子さんはできるだけ良い高校に行くほうが良いと思っています。
良い高校というのは、偏差値がそれなりに高い、という意味です。
都道府県内のトップ校である必要はありません。
ただ、それなりに賢い子たちが集まる集団の中にいたほうが安全だと思っています。
少し前に話題になった沖田×華さんのアシスタントの方の、「はざまのコドモ」という本があります。
知的障害がボーダーで、
発達障害のあるお子さんの話しなんですが、
この子は、奇跡的に小学校時代、ほとんどいじめもなく過ごします。
(作中に描かれている範囲で、ですが)
私はその理由としては、
いろんな経緯はあったとしても、結果としてこの子がその地域の中の「進学校」に行けたことが、
自殺につながるようなひどいいじめを受けなかった理由だと思っています。
私は、大学に行って、
まわりの人たちがめちゃくちゃ優しいことに気がつきました。
私は、高校までは地元の公立高校に通い、
大学は、プロフィールにあるとおり、京都教育大学という大学に通いました。
国公立大学の中では、そこまで賢いわけではありませんが、
教員を志す人が多い大学で、それなりに頭のいい大学でしたので、
小学校、中学校、高校よりもダントツで過ごしやすかったです。
ちょっと生意気かもしれませんが
自分と同じくらい頭のいい人たちの中で過ごすのはとても心地がいいなぁと思っていました。
私は塾の講師として、
子どもと接する最前線にいますが、発達障害のお子さんが、
発達障害を悪化させる原因の1つに、環境の要因があると思っています。
落ち着きのない、人として成熟しきれていない、そんな子どもたちの中で過ごしてしまうと、
お子さんもやはり、そのようになってしまう。
人当たりの良い、優しい子どもたちに囲まれていれば、
自然とその子もそうなっていく。
やはり、どういう人たちと接するかはとても大事だと思わされます。
でも、発達障害のお子さんの場合、特にADHDの症状がきつく出てしまっている場合、
成績はなかなか伸びません。
それは、1つのことをやり切れないからです。
勉強する意欲はあるんです。
だけど、たとえば塾では、こんな感じになります。
中学3年生の場合、
プリント頂戴!と頼まれる。
⇒プリントを渡すが、それをやりきる前に塾から帰りたがる。そして、翌日、そのプリントをなくす。
テストから逆算してこちら側が勉強のやる内容を指示する。
⇒今はこれがやりたい!と好きな教科をやりだす。でも、途中で飽きて、違う教科の勉強をする。
そして、また、違う教科にとりかかる。単元であったり、区切りのページまでやりきらない。
1つの教科に時間がかかりすぎる。
⇒テストを10日前に控えているのに、いきなり自作のノートを作り出す。明らかに間に合わないのに、時間のかかる勉強方法をやりたがる。
明日からがんばる。が口癖になる。
⇒今日は疲れたから帰る。明日は、○○時にきてやる。明日は、○○時までやる。でも、それを守れる日はない。昨日、こう言ってたよね。と言っても、帰ると決めたら絶対に帰る。
友達がやっていた参考書を、1から始める。
⇒塾でテストまでに間に合うように渡してあるプリントやテキストがあるのに、仲の良い子が使っている参考書を新しく買って、1からやり始める。
こんな感じで、
1つのことをやり切れないまま違うことをしたがります。
だから、いつまでたっても、力がついていかない。
そして、他の子たちはどんどん力をつけていくので、
気がついたときにはその差は、半年や1年でそう簡単に埋められるものではなくなっています。
確かに、興味のあること、好きなこと、長所といえることを伸ばしていけばいいという意見もあるでしょう。
でも、勉強以外の長所で生きていくためには、
人の何倍もの努力は必ず必要です。
それができる子もいますが、ほとんどの発達障害のお子さんはできません。
好きなことを人の何倍もできるようになるには、
絶対に「嫌なこと」も出てくるからです。
本当に好きなことだけ、をし続けて成功することはできません。
アスペルガー症候群と診断されて、成功されているアズ直子さんも、
複数の発達障害を持つ沖田×華さんも、
発達障害だといわれている有名な方々も、
やはり、その著書を見れば、苦手なこと、嫌なことを自分なりに工夫され、乗り越えられています。
この苦手なこと、嫌なことは、
誰かから強制される場合は逃げればいいですが、自分らしい人生を生きるうえで必要な場合は、
自分なりに立ち向かっていくことが必要です。
『「子どもの発達障害」に薬はいらない』という精神科の先生が書かれた本にも、
このように書かれています。
定型発達とか、普通の人とか言われる人も、
人生を生きるうえでは苦労します。
それは誰もがそうなんです。
発達障害と診断されれば、それが免除されるわけではありません。
アズ直子さんも、その本の冒頭で同じ意味のことを書いています。
1つのことをやり続けると、
その分野では専門家になれます。
そうすれば、何かで成功することも可能でしょう。
けれど、学校の勉強程度で、ちょっと嫌になって逃げているようでは、
後の人生も同じことの繰り返しになる可能性が高くなってしまいます。
1つのことが続けられないというのは、
発達障害の特性ではありますが、治らないわけではありません。
お父さん、お母さんがお子さんのために発達障害について学んで、
その改善方法を書いてあるものをきちんと勉強すれば、その特性は治していけます。
発達障害はそういうものだとあきらめるのではなく、
発達障害とはそもそも何か、ということを知って、お子さんのために行動してあげてくださいね。