『神話のマネジメント』レビュー|発達障害のもう1つの理由かもしれない
『神話のマネジメント』のレビュー〜親子の間の本当のこと。
発達障害のお子さんのいろいろな問題を乗り越えるうえで、
必ず知っておきたいことがここには載っています。
この『神話のマネジメント』はカテゴリーとしてはビジネス書ですが、
人の生き方を示してくれる本です。
社会で生きている限り、どんな立場の人もビジネスパーソンといえます。
社会で生きることと心の問題。
これは切っては切れないんですね。
今はわからないかもしれません。
けれど、あなたたち夫婦の問題とお子さんの心の問題は強くつながっているんです。
私は発達障害のお子さんの成績アップに努めながら、
また発達障害の症状そのものの改善についても医師の本を読みながらアドバイスをさせていただいています。
その中で、発達障害の症状も良くなり、ぐんぐん成績を伸ばすお子さんと、
成績は伸びているんだけど、何かが良くなると次に何かが悪くなる。
そんなお子さんもたくさん見てきました。
金魚運動やゴキブリ運動、その他、体のコンディショニングの方法を教えてくれる『芋づる式に治そう!』という本があります。
結果が出るかたがほとんどなのですが、
この『芋づる式に治そう!』でなかなか結果が出ない方がいます。
結果は出るんです。
- 眠れる。
- 体が楽になった。
- 気持ちが前向きになった。
だけど、その親子の本当に解決したいことが解決しないままになってしまっている。
ずっと、そのことが不思議でした。
発達障害の症状は、食事の改善や体が整っていくとそれこそ芋づる式に良くなっていきます。
良くなっていくから、親御さん、特にお母さんの表情が明るくなっていき、
どんどんお子さんも前向きになっていくことがほとんど。
ですが、良くなっているのに・・・・
テストの前に体調を崩したり、
肝心な時に変なハプニングにあってしまったり、
体調が良くなっている実感はあるんだけど何かしっくりこなかったり、
そういうことがあったんです。
そんな時に気がついたのが、
夫婦間の溝、です。
- 解けるはずの問題が解けない。
- 解けたはずの問題を忘れる。
- 肝心の本番で弱い。
こういうお子さんに共通していたのが、
お父さんとお母さんの心のへだたり、です。
特に、家の中で【お父さん>お母さん】という序列ができているご家庭ほど、
お子さんの悩み、伸び悩みは深刻に感じることが多いと思っています。
それは、『神話のマネジメント』を読めば理由がすっきりします。
お子さんの目的は発達障害の状態に自分がなることで夫婦の仲をつなぎとめようとしているんです。
社会に出る力のないお子さんは家族の中でしか生きられません。
だから、夫婦の心の溝に敏感です。
実は、夫婦の学歴が両方ともそんなに良くないのに、
お子さんはめちゃくちゃ勉強ができるっていうのも夫婦の心の溝を埋めようとしているんです。
そういうケースがあるということです。
親御さんの心がお互いに離れてしまうと、
子どもはその心をつなぎとめようとめちゃくちゃいい子になるか、問題を起こして2人をつなぎとめようとします。
これは特に新しい考え方でもありません。
子はかすがい。
昔からある考え方です。
この神田昌典さんの親子の不仲が子どもの健康にまで関係して来るというのは別の本。
『成功者の告白』でも読むことができます。
私もそのことがあったので、とある会社でめちゃくちゃ出世し、
会社からクルーザーまで買ってもらったという人にこんな質問をしてみました。
「それだけ出世されたら、お子さんたちもいい思いをいっぱいしたんでしょうね?」と。
いきなり、お子さんは病気されませんでしたか?とは聞けませんからね(苦笑)
そうすると、「いやいや、息子が高校の時に、白血病になって。ちょうど、海外出張で帰ってきて家に電話したら、それを告げられて。」と返されました。
神田昌典さんの言うとおりだ・・・・
まさに、キャリアの絶頂だったそうです。
その時に、今まで全く健康だったお子さんが白血病だとわかったそうです。
海外出張だけじゃなく、部下を連れての海外旅行、クルーザーでの海での遊び。
よく働き、
よく遊び、
そして、家族はほったらかしだったそうです。
まさに、神田昌典さんの言う通り。
夫婦のどちらかが家族を顧みず、社会的な成功を得るなら、
家に残されたどちらかは心の底でそれをやっかみます。
それは夫婦の危機へとつながり、それを察知した子どもは病気になることで夫婦をつなぎとめようとする。
まさに、書かれていることそのまま。
私は背筋が冷たくなりました。
こういう角度で見ると、マンガ「透明なゆりかご」にも同じような話が載っているんです。
ある夫婦のお子さんは生まれて間もなく耳が聞こえていないことがわかった。
奥さんは倒れるまでお子さんの耳が良くなる○○を探し続けた。
それでも、良くならないので旦那さんは奥さんと子どものためにご飯屋さんをすることに決める。
夫婦で一緒に働けて、もしも、お子さんの障害が治らなくても、
仕事がある、そんな未来を描いて。
そして、不思議なことに夫婦が同じ方向を向いて頑張り始めると、
お子さんの耳は聞こえるようになり、そんな障害があったなんて嘘だと思えるほどおしゃべり大好きになった、と。
私はお子さんの発達障害の何割かは、夫婦関係の問題によって起こっているのではないか?
そう思うようになりました。
ただし、これはエビデンスがあるものではありません。
けれど、神田昌典さんが勝手に言っているものでもありません。
家族の心の問題は子や孫の世代にも影響をあたえることは、
社会心理学の先生方もおっしゃっていることです。
大事なことはそれを信じる・信じないというレベルのことではなく、
そうならないためにどうするか?ということです。
夫婦の心のすれ違いは大なり小なり起こることです。
起こるということを前提に、2人で歩む必要があるということなんです。
問題のないご家庭なんてありません。
1つの問題が解決して上のステージに上がったとしても、
上のステージに上がったなりの問題はまた出てくるんです。
それを繰り返していくのが「人生」とも言えます。
でも、それを知らなかったら、下手をすれば自分の人生を呪い、そして、誰かのせいにして生きてしまうかもしれません。
誰かのせいにして生きることを回避するには、
科学的には証明されていなくても多くの方が経験することを受け止めて勉強するしかありません。
それ以外にどうしようもできないからです。
『神話のマネジメント』に書かれている家族の問題は、
普通の発達障害の本には書かれていないことです。
だからこそ、読まなければ、知らなければいけないことだと思います。
ぜひ、家族の心の問題にきちんと向き合い、
あなたの人生・お子さんの人生をより豊かで幸せなものにしてください。