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茂木健一郎さんの『脳を活かす子育て術』のレビュー

『脳を活かす子育て術』のレビュー

 

 

書籍データ
『0歳からの宝探し 脳を活かす子育て術』
著者 茂木健一郎 須藤珠水
出版社 PHP
発行年 2010年7月2日

 

茂木健一郎さんの『脳を活かす』シリーズですね。
緑の本から、シリーズを経るごとに、あの緑本ほど売れていないと思いますが、
中身は断然よくなっていると思っています。

 

 

私は、発達障害のお子さんと接する機会が多いのですが、
よく感じることは、「なんで、そんなこともできてへんねん。」ということです。

 

 

まず、一番が、親を信頼していないっていうこと。

 

 

宿題を普段隠れてしない子は、
「どーせ、お母さんにはばれへんもん」と言います。

 

スマホばっかり触る子は、
「家におかんがいるから触るねん」と言います。

 

発達が全般的に遅れている(でも、発達障害などの診断はぎりぎりでない)子は、
「お母さんと出かけたことなんてない」と言います。

 

 

 

 

上手く親との関係が築けていない。
親が子どもにいろんなことを経験させてやれていない。

 

 

そう感じることが多いんです。

 

 

この本を読んで、私がグッときた言葉があります。

 

【他人の心が分かるためには、言語を含めた、さまざまな抽象的、論理的思考能力を鍛えなければならない】

 

という言葉です。

 

 

人の心がわかる、というのは、感覚的なことのように見えて、
実は、この人のこういう行動は、こういう理由からこういう行動になっているのではないか。

 

と自分が仮定するから、「人の心がわかる」という行為が生まれるのだと思います。

 

 

以心伝心ということではなくて、
ほとんどの人のことを考えて動くというのは、こうしたら相手は喜ぶのではないか?
こうすれば相手は悲しむのではないか?

 

 

そう仮説を立てながら考えて、行動すること、だと思うんです。

 

 

なんとなく思っていたことを、
この本が言葉にしてくれて、そのおかげで、私もその思いを言葉にすることができました。

 

 

発達障害のお子さんが、
人の心を読むのが苦手なのは、結果として、「勉強する量」の不足だと、
私はずーっと感じていたんです。

 

 

それが、本当らしい、というのをこの本を読んで感じました。

 

 

子どもの心の発達を0歳からおっていくと、
ああ、だから、この子は発達障害になってしまったのかも・・・・と思うことが多々あります。

 

 

子育てをこれからする方、
それだけじゃなくて、子育てのどの時期に何ができていなかったかを知る上でも、
この本が教えてくれることは、貴重だと思います。

 

 

1、子どもの発達段階を知る。

 

子どもの発達障害を知ることは、

 

これから子育てをするなら、何に気をつけて子育てをすればいいかを知ることになりますし、
ある程度過ぎてしまったのなら、自分ができていなかったことを知ることになります。

 

過ぎていてもいいんです。

 

子どもの苦手や自分が親としてできなかったことを知ることで、
これからどうしてあげれるか、ということができるようになります。

 

 

2、子どもの脳の発達はプログラムされている。

 

発達障害を治すことにかけては、
最も信頼できる本を出している「花風社」さん。

 

その本の『活かそう!発達障害脳』によると、
ある年齢まで、脳はプログラムされた発達をしていくそうです。

 

 

それはそうですよね。

 

赤ちゃんも寝返りをうち、ハイハイをして、歩けるようになります。

 

それは誰に教えられてするものではありません。

 

それができるようになるのは脳のプログラムです。

 

目に見える動きだけじゃなくて、
社会生活の土台になる認知についても、ある程度の発達は決められています。

 

 

そして、この発達は、途中途中が十分に発達していなくても、
次の段階へ移行します。

 

 

発達障害というのは、
この脳のプログラムされた発達のステップの途中で、
十分に発達しきれなかった部分ができることで、出てくると考えられています。

 

 

これが、発達障害は脳の機能障害だといわれるところです。

 

 

その赤ちゃんの脳の発達、子どもの脳の発達段階が細かく書かれています。

 

 

どの段階での親のサポートが弱かったか。

 

 

これを読むことでわかるわけです。

 

 

3、勝手に親にはなれない

 

 

子どもを産めば確かに、立場的に親にはなります。

 

でも、子どもの脳を十分に成長させられる親というのは、
勉強するしかありません。

 

 

茂木健一郎さんは書籍内でそれを、
「親はほめるアスリートであるべき」と書いています。

 

アスリートというのは、
常に体を鍛えていて、
本番のその一瞬で結果を出す人のことですよね。

 

茂木健一郎さんは、この本の中で、
『子育てにおける「ほめ」のポイントは、できたその瞬間にほめるというところにあります。過去を思い返してほめるよりも、よいところを見た瞬間、タイミングを逃さず反応して本気でほめることが必要です。ということは、常に子どもの行動をきちんと見守っていなければなりません。つまり、親は「ほめるアスリート」になることが求められるのです。』

 

このためには、子どものことを気にかけておく必要があり、
親がそういう態度でいれば、子どもは自分の子とを見守ってくれていると感じて、信頼することを覚えます。

 

発達障害の子を持つ親御さんは、
子どもを疑うのが大好きです。

 

 

その子の悪いところを探すのが大好きです。

 

 

でも、親がやることはその逆です。

 

子どものいいところを見て、ほめてあげる。

 

まず、ここなんです。

 

言うのは簡単ですが、
「ほめよう」ではありません。
「ほめるアスリート」です。

 

  • 訓練がいります。
  • 努力がいります。
  • 時には、失敗もするでしょう。

 

それでも、親としての努力が求められるということです。

 

 

この本のデメリットはある?

 

デメリットというか、この脳を活かすシリーズの分量で詰め込もうとしているので、
言いたいことがぎゅっとなっていて、若干、理解するのに時間がかかる部分があります。

 

 

ゆっくり言えば、わかりやすいのですが、
言葉のニュアンスをとらえるのに苦労するところがあるかもしれません。

 

 

買ってよかった?

 

このサイズで、ここまでのことを詰め込んでもらっているのは、
本当にありがたいですね。

 

0歳から子どもの行動の意味、脳の発達段階のつながり、
そして、そのために親ができること、しなければならないことがきちんと書かれています。

 

 

その分、もしかしたら、これを読み、後悔をされる親御さんもいるでしょう。

 

 

それでも、ここが足りなかったから、次はこうしてあげられる、という手がうてます。

 

ぜひ、お子さんのすこやかな成長のために、
この本を活かしてくださいね。

 

脳を活かす子育て術0歳からの宝探し【電子書籍】[ 茂木健一郎 ]

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