『アスペルガーですが、妻で母で社長です。』のレビュー
『アスペルガーですが、妻で母で社長です。』のレビュー
アズ直子さんの著書、
『アスペルガーですが、妻と母で社長です。』のレビューになります。
タイトル:アスペルガーですが、妻で母で社長です。
著者:アズ直子
出版社:大和出版
発行年:2011年5月18日
私は何度も何度もこの本の冒頭を読ませていただきました。
とてもいい言葉。
そして、真実の言葉。
私たちはここから逃げてはいけないと思います。
『「アスペルガーのこの人でも成功できた、誰でもできる簡単なノウハウがあるのだろう」
と思ってこの本を手に取ってくださったなら、それは違います。
何も願わず、何もせず、ただ漫然と毎日を過ごしていたら、どんなに恵まれた環境に生きる人でも、手に入れたかった「幸せ」にはきっとたどりつけない。
どんな人にも「道」は開けるわけではないのです。』
私の大好きな言葉です。
そうなんです。
何も願わず、何もせず、ただ漫然と毎日を過ごしていたら、
それは、恵まれた人であっても、発達障害があったとしても、
何も手に入れられないんです。
これは、「真実」です。
発達障害の人に優しい言葉はたくさんあります。
つらいときは休んだらいいよ。
無理して仕事なんかしなくていい、社会に出なくていい。
できないも個性なんだよ。
これらは、本当だし、
こういった言葉で救われる人もいると思います。
だけどね、欲しい自分の未来を手に入れるなら、
絶対に、避けて通れないことがあるんです。
逃れることができない真実があります。
それが、この言葉なんです。
もう1度引用しますね。
『「アスペルガーのこの人でも成功できた、誰でもできる簡単なノウハウがあるのだろう」
と思ってこの本を手に取ってくださったなら、それは違います。
何も願わず、何もせず、ただ漫然と毎日を過ごしていたら、どんなに恵まれた環境に生きる人でも、手に入れたかった「幸せ」にはきっとたどりつけない。
どんな人にも「道」は開けるわけではないのです。』
どんな人にも「道」は開けるわけではありません。
簡単に。
明日から。
気楽に、無料で、お手軽に。
そんな方法ないんです。
この本には大事なことがたくさん出てきます。
自分の居場所は自分でつくるしかない。
工夫しながら生きづらさを解消していこう。
私は診断を受けることでようやく、「自分自身の取扱説明書」を手に入れ、うまく自分とつきあうルールをつくる術を知ったのです。
アズ直子さんの凄さがこういう1文、1文からわかります。
アズ直子さんは、医師の診断ですらも、
自分とつきあうルールを「作り出す方法」の1つだととらえているんです。
自分の人生を良くするのは、結局、自分しかないのだと言っています。
その補助として、病院で診断を受けたり、誰かのサポートを受けることはあっても、人生の道筋を決めるのも、歩くのも自分なんです。
この本のアマゾンのレビューを見ていると、
低い評価をつけている人はほとんど、この本のノウハウ部分に目を向けます。
この本には、生きづらさを解消するための、
アズ直子さん本人の「マイルール」が紹介されています。
その方法が、私には合わない、だとか、
役に立たなかった、だとか、
本当に、しょうもないレビューがほとんどでした。
きちんとこの本を読めばわかります。
自分の人生の主役は自分であり、
それを歩くのは自分であり、
そのためにまわりのあるものは自分で考えて利用するしかない、ということです。
自分で考えるしかないんです。
発達障害の人で、自分で考えるのが苦手です、っていう人がいますが、
苦手なのは、その練習をしていないからです。
もっといえば、この世のどこかにまっすぐな正解の道があって、
それを見つけ出す能力が普通の人にはあると思っているんです。
そんなものはありません。
みんな間違いながら生きているんです。
間違って、
傷ついて、
凹んで、時には、私もそうですが1年くらい吐き気と闘う日々が続いて、それでも、前に行くしかないんです。
それは逃げられないんです。
トップアスリートを特集したドキュメントを見ていても、
彼らが平坦で、トップに立ったわけではないことがわかります。
相手が転倒して巻き込まれたり、
予期せぬ事故にあったり、
自分のせいじゃないトラブルも多々あります。
それでも、彼らは這い上がっていきます。
そこまでつらい目を私たちは経験しなくてもいいと思いますが、
それでも、嫌な思いもつらい思いも、
やっぱり、乗り越えていかないといけない。
それは、ADHDだから、アスペルガー症候群だから、
発達障害と診断されていない人であっても、
等しく経験することです。
より良く変わる道の途中であっても、
一端は、調子が下がってしまうことはよくあることです。
それでも、前向きに進んでいく人たちの背中は、
きっと、大きな財産になるはずです。
この本は、そんな本なんです。
決して、何も考えず、この本を読んで、
アズ直子さんのルールにさえ従えば、
簡単に楽に、ステキな未来が待っているわけではないんです。
今、悩んでいるみんなに、
そして、おそらく将来に悩んだアズ直子さん本人に向けて、
「頑張れ!」そんなエールをおくる本なんです。
疲れたら休んだらいい。
人と同じ道を歩かなくてもいい。
人を傷つけて、自分を傷つけてもいい。
それでも、前に進みたいとあなたが願い、行動するのなら、
そこに道は開けていく、その1つの事実を見せてくれる本なんです。
今の自分に負けたくない。
もっともっと、ステキな未来が待っているはず。
そんな人に手にしてほしい1冊です。
アズ直子さん本人が経験し、傷ついた子ども時代や、
新人社会人時代の話は、読んでいて、私に重なることが多く、涙が出てきました。
それでも、自分の道を見つけていくアズ直子さんの姿に、
私自身、とてもはげまされました。
このままでいいのかな・・・・そう不安になっている方へ。
自分の道を見つけて、進んでいきたい方へ。
発達障害があっても、自分の素敵な未来を見つけられる!
そう信じたい方への魂の応援本だと、心から言えます。