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『私は発達障害のある心療内科医』のレビュー・感想

 

『私は発達障害のある心療内科医』のレビュー・感想になります。

 

タイトル『私は発達障害のある心療内科医』
著者 星野仁彦
出版社 マキノ出版
発行年 平成25年2月26日

 

正式なタイトルは
『「いつも生きづらさを感じている人」への処方箋 私は発達障害のある心療内科医』になります。

 

日本の発達障害に関する第一人者ともいえる星野仁彦先生の本です。
そして、私の発達障害に関する見方を変えてくれた1冊。

 

私が塾業界に身を置いて、
教室運営をしていく中で、扱いづらい親子がいるということを感じるようになりました。

 

 

子どもは勉強できないし、
そもそも、年齢相応の対応ができない。
親も親で、こちらの話の意図が通じない。

 

だから、私は何か変だな、という親子の場合、入塾をお断りしていました。

 

 

それでも、その数は年々増えているように感じ、この塾しかないという思いで来ました。
という方も増え、私は、本格的に発達障害の勉強を2年ほど前からするようになりました。

 

そして、私の発達障害への見方を変えてくれたのがこの1冊です。

 

発達障害は脳機能の障害であり、その人には罪がないこと。
脳機能の障害よりも、家庭のあり方の方が問題であること。
そして、発達障害のあった星野仁彦先生が「人生」を楽しんでいること。

 

発達障害に本気で取り組むことを教えてくれた私のバイブルです。

 

さて、この『私は発達障害のある心療内科医』の良かった点を3つにまとめます。

 

 

リアル

 

発達障害のリアル(現実)がわかる本です。

 

ADHDって何?
アスペルガー症候群って何?

 

そんな解説本にはない、
発達障害の現実、治療の現実、それが見えてくる本です。

 

自分も発達障害であり、心療内科医として、
発達障害の方の改善に尽力してきた先生だからこそ、書けることがある。

 

 

このリアルは、そう簡単にここで書けるものではないので、
読んでほしいですね。

 

家族の病

 

発達障害は、家族・家庭の病気である。

 

そう気づかせてくれた本です。

 

発達障害は、本人の脳機能の障害なので、
治療は本人に薬を与えたり、トレーニングを受けさせたり、
本人を治療するのが基本と考えられています。

 

 

普通、そう思いますよね?

 

 

でも、星野仁彦先生の家族の話、
そして、現場での治療の話。

 

これらを読むと、発達障害の方で、その症状が重症化するのは、
家族・家庭のあり方が大きく関係します。

 

 

発達障害が自然によくなる家庭と、悪化させていく家庭があるんです。

 

 

 

そのことがよくわかる本です。

 

バランス感覚

 

  • 8歳までの療育が効果的。
  • 薬は使わない方がいい。
  • 精神科医にかかっても無駄。

 

発達障害のことを調べていく中で、
どうしても、極論に走ってしまう方が多いです。

 

でも、星野仁彦先生の本を読んでいると、
療育だけでは追いつかないなら、薬を使えばいい、など、
本当にバランス感覚がすごいなと感じます。

 

 

それは、「発達障害を改善する」という目標を達成するために、
この手段は使わない、あの手段しかダメ、というのはもったいないですよね。

 

 

「発達障害を改善する」という目標のために、
私たちにはどれだけのツール・方法があり、それを状況に応じて使えばいい。

 

 

たとえ、何歳からでも、その人にあった方法はある。

 

 

それを直接書いているわけではないですが、
発達障害を改善させたいっていう大目標のために、
私たちが使えるツールをうまく使えばいい。

 

そういうバランス感覚が自然と身につくように思います。

 

専門家にありがちな、尖りすぎた考えがないのがこの本の特徴です。

 

 

じゃあ、デメリットは??

 

 

星野仁彦先生のがんを治した話など、
ちょっと自慢話が長いことでしょうか(笑)

 

私は、そのちょっと脱線した話も好きなんですが。

 

関係ないといえば、関係ないわけで、
こういうちょっと脱線されるのが苦手という方は、
少しまわりくどいと感じるかもしれません。

 

 

でも、この癌の話にしても、
発達障害の特性が上手く作用することで、改善したという話なので、
できるだけ読んでほしいと思います。

 

 

買って良かったことは??

 

 

発達障害のリアル・現実がきちんとわかったことでしょう。

 

本人だけの問題ではなく、家族の問題でもあるわけです。

 

治療の現場の現実がわかり、
また、どういう心療内科医が良いかどうかがわかります。

 

 

私もこの本を筆頭に、
いろいろ読む中で、
発達障害の治療・改善に成果をあげられている医師の方のやり方は、
必ず、家族、パートナーと一緒にカウンセリングを受けてもらう。

 

というものでした。

 

そして、全国の発達障害支援センターを見る中で、
先進的な支援を行う支援センターは、必ず家族で相談に来ることを進言しています。

 

 

本人だけの問題ではなく、
根本的に解決するには、まわりの理解が不可欠ということがわかりました。

 

 

この気づき、だけでも価値のある本です。

 

そして、著者の方は、自身も発達障害であることを認めています。
そのことを前向きに、というか、ユーモラスにとらえて、むしろ、その人生を楽しんでいます。

 

一瞬で発達障害を治すことは、難しいかもしれませんが、
気持ちの持ちようは一瞬です。

 

そのことは、最近有名な、アドラーの『嫌われる勇気』にも書かれています。

 

 

気持ちをどう持つかで、人生は一気に変えられる、と。

 

 

発達障害でも、前向きに楽しく生きることはできる。

 

その現実と希望を与えてくれる本です。

 

【詳しくはこちら】

私は発達障害のある心療内科医 [ 星野仁彦 ]

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