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ADHDと併発しやすい『健忘症』とその実例とは??

 

ADHDの子が発症しやすいという『健忘症』〜私が見てきた事例とあわせて

 

 

 

分数の足し算ができない。

 

 

中学生で塾に来る子で多いのが、
連立方程式や1次方程式などで、勉強に対する苦手意識が強くなった子です。

 

塾には行きたくないけれど、成績が下がってきたから仕方なく・・・・という子が依然として多いです。

 

でも、その中で多いのが、
実は「基礎的な計算ができなくなっている」ということです。

 

どういう解き方をすればいいか、
連立方程式の文章も読み取れていて、
それなのに間違ってしまう子は、基本的な分数や少数の足し算や引き算ができなかったりします。

 

ADHDのお子さんは、「健忘症」も併発しやすいと言われ、
接する人は、認知症をわずらったおじいちゃんやおばあちゃんと接しているようにも感じるでしょう。

 

ここで、健忘症について、説明しておきます。

 

 

健忘症

 

『健忘症』とは特に、
新たな情報を学習しにくくなる「前方向性健忘」。
すでに学習したことを思い出しにくくなる「逆行性障害」。

 

この2つがあるとされ、

 

ここから「短期記憶」―数分間の出来事を記憶すること。

 

と、

 

 

「近似記憶」−数時間〜数日のことを覚えること。

 

この2つの記憶力に障害が見られ、
そのために、テストであり得ない点を取ってくることが一部のお子さんでは見られます。

 

好きなことはよく覚えていますし、
日常生活では、認知症のような症状が見られない。

 

けれど、苦手なことになると・・・・

 

授業も受けて、塾に行っているのに、
まったく、効果が見られない場合は、この「健忘症」の疑いがあります。

 

また、自分の記憶とまわりの反応との差を埋めるために、
「作り話をする」ことも多々あります。

 

健忘症とはちょっとした物忘れだけが問題ではなく、
「嘘をついてしまう」(しかも、バレるレベルの)ことも問題です。

 

 

こういう中学生はどうなってしまうのか、例をあげてみます。

 

 

こんな中学生は、ADHDで、『健忘症』を合わせて発症している可能性があります。

 

 

 

 

まず、多いのが、「自分の言ったことを忘れる」です。

 

こんなことがありました。
ある中学生の女の子が、こんなことを教えてくれました。

 

「○○(自分の名前)なぁ、小学生の頃は賢かってん。
でもなぁ、隣の家の子がなぁ、『宿題なんて忘れたらいいねん』って誘ってくれて、
宿題せんかったら、その日、めっちゃ楽やって、
それから、宿題出せなくなってん」

 

という話をしてくれました。

 

それから、何日も経っていない数日後、
「○○ちゃん、こんな理由で、宿題出せへんくなったんやぁ」って確認したら、
「え、なんでそのこと知ってんの、気持ち悪っ!」

 

と本気で言ってきました。

 

その子と同じ時間の子たちは、皆その子の話を覚えていたので、
その子が、自分が話したこと自体全く忘れていたことに驚いていました。

 

前に話してくれたんだよ。
と、なんどか、説明しましたが、「言っていない」の一点張りで、
思い出した様子もありませんでした。

 

 

完全に記憶が抜け落ちるのです。
かわいそうなのは、それは本人は知らず、まわりだけがわかっているということです。

 

 

 

 

自分が「健忘症」だとは気づいていないが、
不安にかられる子もいます。

 

中学3年生の男の子の話です。
身体が大きく、先生を突き飛ばすなど、学校でもけっこうな問題を起こす子で、
機嫌がすぐに悪くなることもあります。

 

この子は、すぐに塾の自分の担当の先生の後を、カルガモのように追っかけます。

 

おそらく、認知症の方のように、
記憶が不安定なため、「不安」なのでしょう。

 

中学3年の男の子が、不安そうな顔で、
塾の教室の中で担当の先生を探して教室中を歩き回る様子は、見ていてかわいそうです。

 

例えば、数学の練習テキストは、
単元ごとに、公式があり、公式を使って解く練習問題が10問ほどあります。

 

普通のお子さんは、例題を講師と一緒に行い、
そのあと、自分で練習問題を解き、○つけまで行います。

 

ただ、「健忘症」の子は、
2〜3問解いて、4〜5問目には、必ず講師に質問します。

 

「これって、さっきの解き方でいいんやんな」
「こんなん見たことないで」
「これだけ難しくない?」

 

その時、その時で、表現は違いますが、
なぜか、最後まで1人で解ききれません。

 

 

解けるはずなのに、しないんです。

 

 

絶対に、質問してくるのです。

 

そして、講師が、その場にいなと、必ず「探します」

 

スーパーとかで迷子になって、お父さん・お母さんを探す子どもに似ています。

 

その子が、教室をうろついていると、「またか」という顔でみんな見ています。

 

だんだん見ていてかわいそうになります。
中学3年生の男の子がが、少し頑張れば解ける問題を解かずに、「不安な気持ち」が先行して、講師を探しているんです。

 

記憶の揺らぎがあるために、
誰かがそばにいないと不安なのでしょう。

 

ADHDのお子さんで、
「健忘症」の症状が見られるお子さんは、
大人が横にいてやらないとなかなか1人では勉強できません。

 

記憶の定着が悪いため、「不安」なのです。

 

「健忘症」は、その人その人で出てくる症状に違いがあるので、
注意してみてあげてください。

 

 

こんなケースも多いです。

 

学校で配られた大事なプリントを親に見せられない。

 

 

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これらを学校からもらったとします。

 

ADHDの子は、新しい刺激がくると、
前の刺激、前の記憶をすぐに失ってしまう傾向が強いです。

 

だから、プリントをもらった瞬間は親に見せないとと思っていても、
友達に話しかけられたり、クラブをしてしまうと忘れてしまうのです。

 

ほとんどの発達障害の知識がない人には、
だらしがない人と思われがちですが、記憶をしておく、記憶を引き出す脳機能が、
発達障害のお子さんは弱く、こういうことは日常茶飯事です。

 

 

お子さんを責めるのではなく、
学校からのプリントファイルをなどを用意して、
家族で忘れ物がないように工夫されてください。

 

そうするだけでも、安心して学校で過ごすことができ、
お子さんの気持ちが安定してきます。

 

 

以上、ADHDと併発しやすい「健忘症」のことでした。

 

 

専門家の方と違う考え方もあるでしょうが、
私が見てきて、記憶に揺らぎがあるお子さんの例を紹介しました。

 

 

 

まわりが変な子と思ってしまう子には理由があります。
大人がまず、気がついてあげてくださいね。

 


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