子どもの発達障害を悪化させる親ってどんな親?【ひろあの実体験からの話】
子どもの発達障害を悪化させる親ってどんな親?【ひろあの実体験からの話】
子どもの発達障害を悪化させる親。
星野仁彦先生も、
【発達障害に気がつかない親たち】というタイトルで、
その重大さに警鐘を鳴らしています。
私が実際にたくさんの子どもたちと接してきて思うのは、
子どものできる、できないって、あんまり気にしなくていいんですよね。
むしろ、お母さんのほうが、
子どもを叱ったり、怒ったりする前に、自分をなんとかするべき。
そんなケースが多かったです。
まずは、勉強させすぎて、抜毛症になってしまったり、
子どもが学校で倒れてしまったお母さんの話。
あなたのお子さんが小学生高学年だとして、
その12歳の子は、あなたにとって、大人と同じでしょうか?
おそらく、yesと答える人はほとんどいないと思います。
私が出会ったお母さんは、
小学生の自分の娘を、もうすでに一人の大人として見ていました。
ひとりの人間として、彼女の思いや人格を尊重するならいいんです。
そうではなくて、自分の大人の常識に無理やり娘を付き合わせるんです。
その子は、私立の中学校への中学受験のために、私の塾へ来ました。
大人しい子で、真面目な子でした。
けれど、生活のリズムが崩れていて、
どうしても、塾で寝てしまうのです。
長い時間、興味のない勉強をすることができず、
塾に限らず、家でも、勉強中に寝てしまいます。
普通であれば、お子さんの体調を優先するところですが、
このお母さんは、受験が終われば、普通の小学校6年生の生活をさせるから、
と、彼女が寝てしまったら、深夜1時でも2時でも、彼女を起こし、勉強させていました。
だんだん、癖で毛を抜くようになり、止まらなくなりました。
注意はしましたが、聞き入れてもらえません。
当然、小学6年生ですから体力もありません。
ついに、学校で倒れました。
ご近所には、インフルエンザで、と言っていたそうですが、
明らかに過労が原因だとわかります。
今の私立中学校受験は、
全国的な有名校でなければ、普通に受かります。
そこまで、勉強させる必要はありません。
なのに、勉強させるのは、
お子さんのためではなく、自分のためなんです。
自分の理想とするお子さんにしたい。
自分の育て方が正しいことを、自分が認めたいのか、誰かに認めてほしいのか、
それとも、ただ理想を押し付けるのか、
理由はわかりませんが、こうあってほしいという子どもの姿を、ダメなお母さんは押し付けたがります。
でも、子どもは子どもで、ひとりの人間です。
お父さん、お母さんの遺伝子はあったとしても、
やはり、お父さん、お母さんではない別のひとりの人間なんです。
だから、お父さん、お母さんが普通にできたことを、
彼らができないというのはふつうにあることなんです。
ですが、親として未熟な親は、自分の理想を子どもに押し付けたがります。
そして、もっと大事なこと、
お子さんの体調や睡眠時間、食事に関しては、驚くほど無頓着なんです。
そりゃ、放っておけば、発達障害になってしまうわ!
と言いたくなります。
だけど、残念なことですが、この手のタイプのお母さんは少なくありません。
こんなケースもありました。
志望校中学受験に受かったのに、
「どうせ、ぎりぎりで合格したんやろ」と言われた。
という女の子がいたんです。
志望校に受かったら、当然、ほめるべきですよね。
その子は、毎日、塾に来て勉強していました。
普通の小学生が遊んでいる中、4時間も、5時間も塾にいて、何かしらの勉強をさせられていました。
有名進学塾でないにも関わらず、
中堅の私立中学で、きちんと、平均点よりも高い点をプレテストで出してくれていました。
そんな子なのに、
まったく、褒められたことがありませんでした。
むしろ、いつも、お母さんは、
もっと、勉強しなさい、ちゃんとしなさい、だらしなさをなくしなさいと怒ってばかり。
これだけ見ると、心無い人のようにも見えますが、
娘のために、私立の中学校に行かせてあげようという気持ちはあるんです。
その気持ちがあるのに、
なぜか、受かると、前に書いたような一言を言うんです。
他のお子さんよりもいい点を取っても褒めないんです。
さらには、その子が、インフルエンザになると、
塾に電話をかけてきました。
休みの電話かな?
と思うと、インフルエンザで、学校も塾も休むから暇だと思うので、
ひとりでできる参考書を教えてほしい、ということでした。
その子は、中学受験まで、毎日、塾に来て勉強していました。
もう一度いいますが、、プレテストなどでは、平均点より上で、
賢い部類で、ちゃんと勉強してきたんです。
その疲れが、インフルエンザとして、受験の後で出てしまったんです。
もう、中学受験に受かった後です。
なのに、受験が終わって、インフルエンザになったにも関わらず、まだ、勉強させようとします。
おそらく、そのお母さん自身が、自分が毎日大変だから、
あなたもさぼらずに頑張りなさい、という勝手な理由で勉強させるのだと思います。
娘が楽をしているのが許せないんだと思います。
楽はしていませんが、その子は、しんどい、つらい、
そういった感情をあらわすのが苦手な子でした。
発達障害のお子さん特有の嘘をついたり、落ち着きがなかったり、
そういう症状も見られたので、余計に、お母さんをいらだたせたのだと思います。
だけど、その子をそうしているのは、お母さんなんです。
2人とも、母親のことは嫌いで、
塾では「あの人」と呼びます。
心の底で、親が自分のことを本当に大事にしているわけではない、と見抜いているわけですね。
2人の親は、
子どものために私立の中学校に入れる、と周りには言います。
けれど、自分の都合を子どもに押し付けたり、
ほめるべきところで、子どもの努力を全く認めないどころか、
子どもの心に傷をつけるような発言をします。
こういう発言って、子どもはずっと覚えています。
私達もそうですよね?
子どもと親の信頼関係がないところは、
子どもの発達障害がみられます。
子どもというのは親を真似て、親から学んで成長するので、
子どもと親の信頼関係ができていないと、誰から「人」というのを学べばいいかわかりません。
自分勝手な親であれば、
その子も自分勝手になっていきます。
発達障害のお子さんは、精神的に幼い子が多くなりますが、
それは、脳機能の障害だけではなく、目指すべき大人がいないために、
自分がどういう振る舞いや行動を、社会の中でするべきか、その目標や教科書となる人がいない状態なんだと思います。
これは、本当に不幸なことだと思います。
そのお母さんじゃなければ、その子は、こんな風にならなかったのでは?
そんな風に、いろんな子を見てきた私は思ってしまうんです。
子どもをなんとかしようと思う前に、
親であるあなた自身が変わっていこう。
そんな風にまずは思ってください。
どんな家族でも、
周りから見れば、裕福で幸せそうな家族でも、
やっぱり、いろんな問題をかかえていらっしゃいます。
ほとんどが、子ども中心の問題です。
でも、お子さんの問題は、実は、親御さんの問題でもあるんです。
その課題を解決したら、あなたとお子さんは、もう一歩上のステージに行けるよ、という神様からの課題なんです。
アメリカでは、発達障害を持った人を、チャレンジド、と呼ぶそうです。
挑戦をする人、ではなく、挑戦を受ける人、という受け身の意味なんだそうです。
その課題を乗り越えた時に、あなたにしか見えない景色がありますよ、ってことだと思います。
家族もそうなんですね。
お子さんの問題を一緒に乗り越えること。
そうすることで、血のつながりのある法律上の家族、というだけではなくて、
本当の意味での家族になっていく。
そう私は思います。
理想論だとわかっていても、です。