モンスターペアレントになってしまう発達障害者の人たち
モンスターペアレントになってしまう発達障害者の人たち
モンスターペアレントは、今では、そんなに取り上げられることもありませんが、
一時期、社会的に問題になりました。
その時は、わがままな親、社会を知らない親、
というだけでしたが、星野仁彦氏によると、
その根底には、発達障害がある、というのです。
に、そのことが詳しく書かれています。
私が気になったのは、
この本のこんな一節です。
「モンスターペアレントの家族は機能不全家族をつくりやすい」
まさに・・・・でした。
私の経験上、塾にクレームを入れに来る親の子どもは、
100%発達障害を悪化させていました。
そして、さらに、
星野仁彦先生の本には、
こういうケースも書かれていました。
モンスターペアレントの子は、
二次障害を引き起こす。
私はこの時、あの少年のことを思い出します。
その青年は、
仮に、木村優斗君としましょう。
中学校2年生で私の塾に来ました。
サッカー部のキャプテンで、
面倒見も良く、同じ中学同じ学年の不登校気味のお子さんも、
「優斗君はすごい」と言っていました。
顔もきれいな顔をしていて、
女生徒の人気も高い子でした。
大手名門塾にいたのですが、
そこでは全く勉強はしなかったらしく、私の塾へ転塾してきました。
私との面談、受けこたえ、担当講師とのやり取りを聞いていると、
簡単に成績は上がるかな、と思っていました。
しかし、
5教科400点くらいで入ってきた彼は、
ずーっと、それくらいの点数しか取れません。
しかも、いつもつまらなさそうな顔をしているんです。
勉強が嫌い、というよりも、
人生がつまらない、という感じでした。
ちょっと気になったので、
担当講師に、優斗君のテストを見せてもらうと、
後半の発展問題は満点なのに、
それ以前の基礎問題で、落としすぎているんです。
そこを注意して、次回頑張るように、言いましたが、
一向に改善する気配はなく、何度も、お母さんが塾にやってきました。
もちろん、こういうクレーム対応は私の仕事。
ただ、このお母さんと話しながら、
気味の悪いお母さんだなと思っていました。
ある日、お父さんも一緒に塾に来られると、
お父さんは、男前だけれど、存在感が薄いというか、
お母さんに疲れている、またか、という感じでした。
そして、このお母さんは、
公務員になって働いていましたが、職場で上手くいかず、
鬱になり、結局、退職したということでした。
だから、考えることが子どものことしかないんです。
子ども子ども子ども。
優斗君の元気のない姿は、このお母さんが原因だったと今では思います。
さらに、優斗君の問題の間違え方は、
心配になるものでした。
例えば、連立方程式
2X−5Y=16
3X+2Y=3
といった問題を、本来は普通に解けるのに、
解答に、
2X=16+5Y
と書いていたりするんです。
10問、このような連立方程式の問題があるとしたら、
3問は、こんな風に移行するだけだったり、すべての問題がXとYなのに、
a=3、b=5のように、いきなり、違うアルファベットが出てきたりしました。
起立性調節障害
と呼ばれるものだったのかもしれません。
もっと、ひどい障害だったかもしれません。
明らかに、様子が違いました。
とにかく、勉強になると、体調が悪そうで、
頭がいいのに、理由がわからないミスを連発していました。
後で、わかったことですが、
この優斗君の親は、体調が悪くなると、実家に行って休むのだそうです。
そして、子供たちはその実家に行かないとご飯がありません。
学校の後、塾に来る優斗君は、
そのことを知らずに家に帰り、面倒なため、お母さんの実家には行かずに、
そのまま家で寝てしまうのだとか。
もちろん、朝ごはんもないので、
そのまま学校へ行くそうです。
そんな生活が続けば、心も体もやせ細っていきますよね。
彼ほど、恵まれた頭と、容姿を持って生まれながら、
親によって不幸になる。
発達障害の負の側面の最たるものだと思いました。
星野仁彦先生の本を読んでいて、
改めて、モンスターペアレントは、学校の対応だけの問題ではなく、
その子世代へ、発達障害を広げている要因でもあるわけです。
モンスターペアレントを見れば、
もしも、自分がなったとしたら、
その家族は機能不全家族に陥っていて、その子も何かしらの発達障害の症状を引き起こすことになるかも・・・・
知っておかなければならない、発達障害の1つの側面ですね。